どうも!オラ吐瀉夫!
いやはや、気づけばもう年末の足音が聞こえてくる季節ですね。ついこの間、「あけおめ」なんて言っていた気がするのに、カレンダーは最後の1枚をめくられようとしています。毎年毎年、心なしか1年が短くなっていませんか?
子供の頃の1年って、もっとこう…長くて、イベントも盛りだくさんで、夏休みなんて永遠に続くかのような感覚があったはずなのに。それがどうでしょう。大人になった今、1年がまるで高速道路を駆け抜けるスポーツカーのよう。あっという間に「去年」という名のバックミラーに消えていきます。
「年々、時間の流れが加速してる…!」
そう感じているのは、決して僕だけではないはずです。この現象、実はちゃんと名前がついていて、様々な角度から科学的な説明が試みられているのをご存知でしたか?
今回は、我々中年…いや、大人世代から失われた「時間」の謎に迫り、なぜ年を取るほど1年が早く感じるのか、その正体を暴いていきたいと思います。そして最後には、この加速する時間に対抗し、人生の体感時間を少しでも長く、濃密にするためのささやかなハック術までご紹介しちゃいます。この記事を読み終える頃には、あなたも時間泥棒の正体を知り、明日からの時間の使い方を少しだけ変えてみたくなるはずです。
- 時間泥棒の正体その1:最も有名な「ジャネーの法則」
- 時間泥棒の正体その2:「初めて」の激減によるマンネリ化
- 時間泥棒の正体その3:脳の処理速度の低下という物理的な問題
- 【実践編】体感時間をハックせよ!失われた時間を取り戻す3つの方法
- まとめ
時間泥棒の正体その1:最も有名な「ジャネーの法則」

「年を取ると時間が早く感じる」という現象を語る上で、絶対に外せないのが「ジャネーの法則」です。聞いたことがある方も多いかもしれませんね。これは19世紀のフランスの哲学者、ポール・ジャネさんが提唱した法則で、一言でいうとこうです。
「生涯のある時期における時間の心理的長さは、年齢の逆数に比例する」
…はい、ちょっと何言ってるかわかんないですよね。僕も最初、頭の上に「?」が飛び交いました。大丈夫、安心してください。もっと分かりやすく、僕らの言葉で翻訳しましょう。
要するに、「自分の人生全体にとって、1年がどれくらいの割合を占めるか」で体感時間が変わってくる、ということです。
具体的な数字で考えてみると、一目瞭然です。
- 5歳の子供にとっての1年間は、人生の5分の1(1/5)。これはとてつもなく大きな割合です。
- 一方、50歳の大人にとっての1年間は、人生の50分の1(1/50)でしかありません。
5歳の子にとっての1年が、人生というケーキの巨大なワンカットだとすれば、50歳にとっての1年は、数あるロウソクのうちの1本にすぎない。そう考えると、年齢を重ねるごとに1年の比重がどんどん軽くなり、相対的に短く感じてしまうのも納得できませんか?
この法則に従うと、10歳の子供が感じる10年間(1歳〜10歳)と、80歳の老人が感じる40年間(40歳〜80歳)の心理的な長さが、ほぼ同じになるなんて計算もあるそうです。恐ろしい話ですよね。僕らの時間は、知らず知らずのうちにこの法則によってどんどん圧縮されていたのです。
参考: ジャネの法則 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87
時間泥棒の正体その2:「初めて」の激減によるマンネリ化

ジャネーの法則は非常に説得力がありますが、時間の感じ方を変える要因はそれだけではありません。次に考えられるのが、「新しい経験の減少」です。
子供時代を思い出してみてください。毎日が「初めて」の連続じゃありませんでしたか?
- 初めて自転車に乗れた日
- 初めて補助輪なしで走れた時の風の匂い
- 初めての遠足で見た景色
- クラス替えのドキドキ感
- 夏休みのプールと、茹でたトウモロコシの味
こうした新鮮な体験は、脳にとって非常に大きな情報量となります。脳は新しい出来事や感動的な体験を処理・記憶するためにフル回転し、その結果、後から振り返った時に「あの時は色々なことがあって、長い時間だったな」と感じるのです。
しかし、大人になるとどうでしょう。生活はある程度ルーチン化し、毎日が同じことの繰り返しになりがちです。通勤ルートも同じ、仕事内容も同じ、食べるランチも大体同じ…。脳はこれらの情報を「いつものこと」として効率よく処理できるようになり、いわば「省エネモード」で運転するようになります。
脳が記憶に留めるべき「新しい情報」が少ないため、1日、1週間、そして1年を振り返った時に、記憶のフックとなるイベントが少なく、「あれ?今年、何かあったっけ…?」となってしまう。これが、体感時間が短くなる大きな原因の一つと考えられています。
つまり、子供の頃の時間が長く感じられたのは、人生が冒険と発見に満ちていたから。大人の時間が短く感じるのは、良くも悪くも日々の生活に慣れてしまったから、と言えるのかもしれませんね。
参考: 大になると時間が早く過ぎるのは本当?時間管理と睡眠の科学 - フィリップス
https://www.philips.co.jp/a-w/about/news/archive/standard/about/blogs/healthcare/20220315-time-management-and-sleep.html
時間泥棒の正体その3:脳の処理速度の低下という物理的な問題

ここまでは心理的な要因が中心でしたが、実はもっと物理的な、「脳の仕組みそのものの変化」も関係しているという説があります。
人間の脳は、目や耳から入ってきた情報を処理して世界を認識していますよね。この情報処理のスピードが、加齢とともに少しずつ遅くなっていく、というのです。
例えば、映画やアニメは静止画の連続(フレーム)を高速で切り替えることで、動いているように見せています。これを「フレームレート」と言いますが、僕たちの脳にも似たような仕組みがあると考えてみてください。
若い頃の脳は、非常に高いフレームレートで世界を認識しています。1秒間にたくさんの静止画(情報)を処理できるため、時間の密度が濃く、ゆっくりと感じられます。ところが、年齢を重ねると、この情報処理のネットワークが少しずつ劣化したり、神経の伝達速度が落ちたりすることで、脳のフレームレートが低下していきます。
同じ1秒間でも、処理できる情報のコマ数が少なくなってしまう。その結果、世界が少し「コマ送り」のように感じられ、相対的に時間が早く過ぎ去ったように感じる、というわけです。
「代謝の低下」もこの説に関係していると言われています。子供は代謝が活発で体内時計の進みが速いですが、大人になると代謝が落ち、体内時計の進みもゆっくりになります。自分の体内時計がゆっくりになると、相対的に外の世界の時間が速く進んでいるように感じられる、という考え方です。朝の時間があっという間に過ぎるのも、起床時が1日で最も代謝が低い時間帯であることが関係しているのかもしれません。
心理的な要因だけでなく、こうした脳や身体の物理的な変化も、僕たちの時間感覚に影響を与えているのですね。
【実践編】体感時間をハックせよ!失われた時間を取り戻す3つの方法

さて、ここまで時間泥棒たちの正体を暴いてきました。ジャネーの法則、経験のマンネリ化、そして脳の物理的な変化…。これらは、ある意味で年齢を重ねる上では避けられないことかもしれません。
しかし!「じゃあ、なすすべなく時間の加速に身を任せるしかないのか?」と言われれば、答えは断じて「否」です!
原因がわかれば対策も立てられるというもの。ここでは、僕たちの手で体感時間をハックし、少しでも濃密で長い時間に感じさせるための方法を3つ提案します。
1. とにかく「初めて」を増やす
マンネリ化が原因なら、その逆をいけばいい。意識的に「新しい体験」や「初めてのこと」を日常に取り入れましょう。脳に新しい刺激を与え、記憶に残るフックをたくさん作ってあげるのです。
- 行ったことのない場所に旅行する
- 今まで読んだことのないジャンルの本を読む
- 新しい趣味(楽器、料理、スポーツなど)を始める
- 通勤や散歩で、いつもと違う道を歩いてみる
- 入ったことのないお店でランチをしてみる
なにも大きな挑戦である必要はありません。「初めて」というスパイスを少し加えるだけで、脳は活性化し、退屈な日常が特別な1日に変わります。たくさんの「初めて」が、後から振り返った時に1年を長く、豊かなものにしてくれるはずです。
2. 「没頭する時間」を作る
「楽しい時間はあっという間に過ぎる」と言いますが、それは時間に注意が向いていないからです。逆に、何かに深く集中し、「没頭」している時間は、後から振り返ると非常に充実していて長く感じられることがあります。
仕事でも趣味でも構いません。時間を忘れるくらい何かに夢中になってみましょう。スマートフォンの通知をオフにして、1時間だけ読書に没頭する。週末にプラモデル作りに集中する。そうした時間は、ただ過ぎ去る時間とは質の違う、中身の詰まった時間として記憶に刻まれます。
3. 経験を記録し、振り返る
どんなに楽しい経験も、忘れてしまえば「何もなかった1年」になってしまいます。そこでおすすめなのが、日々の出来事を記録することです。
- 簡単な日記をつける
- 写真を撮ってアルバムを作る
- SNSでその日の出来事を発信する
記録することで、脳は「これは記憶すべき重要な出来事だ」と認識します。そして、定期的にそれらを振り返ることで、記憶が強化され、「今年も色々なことがあったな」と1年の長さを実感できるようになります。年末に1年間の写真を見返すだけでも、かなりの効果が期待できますよ。
まとめ

というわけで、今回は「年を取ると1年が早く感じる理由」について、深掘りしてきました。
まとめると、その原因は、
- ジャネーの法則:人生における1年の相対的な割合が小さくなるから
- 経験のマンネリ化:新しい刺激が減り、脳が省エネモードになるから
- 脳の物理的変化:情報処理速度が低下し、時間の密度が薄く感じるから
といった要因が複雑に絡み合っていると考えられます。
時間の流れそのものを変えることはできません。しかし、その感じ方は、僕たちの意識と行動次第で変えることができます。年齢を重ねることを悲観するのではなく、むしろそれを逆手にとって、一つ一つの経験を大切にし、新しい挑戦を続けていく。
そうすることで、たとえ物理的な1年が同じ長さでも、その心理的な長さと密度は、いくらでも豊かにできるはずです。
さあ、この記事を読み終えたら、何か一つ、新しいことを始めてみませんか?来年の今頃、「いやー、今年は本当に色々なことがあって、長い1年だったな!」と笑い合えるように。僕も、まずは明日のランチ、入ったことのない中華料理屋にでも突撃してみようと思います。
それではまた!



