一緒に遊ばなくなっても友達

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中学2年生の夏、僕とタカシは毎日一緒にゲームセンターに通っていた。学校が終わると、制服のまま自転車を飛ばして、アーケードゲームの騒がしい音とタバコの煙が混じる薄暗い空間に飛び込んだ。僕らは『ストリートファイターII』で何時間も対戦して、勝った方が「次はお前がジュース奢れよ」と笑いながら言うのがお決まりだった。タカシはリュウ使いで、僕はケンが得意だった。波動拳昇龍拳がぶつかり合う画面を見ながら、僕らは将来もずっとこうやって遊んでるんだろうなって、何となく思っていた。

でも、高校に上がってからは少しずつ変わっていった。僕が受験勉強に追われるようになった一方で、タカシはバイトを始めて、新しい友達とつるむようになった。ゲームセンターに行く回数が減り、メールの返信も遅くなっていった。最初は「忙しいだけだろ」って自分に言い聞かせてたけど、ある日、タカシが「最近は別のゲームにハマっててさ」と笑いながら言ったとき、なんか距離を感じた。僕が知らないタカシがそこにいるみたいで、ちょっと寂しかった。

それでも、完全に縁が切れたわけじゃない。年に1回くらい、偶然駅で会ったり、共通の友達の誕生日で顔を合わせたりする。去年の冬、雪が降る中で立ち話をしたときは、タカシが「そういえば、お前まだケン使ってんの?」ってからかってきて、僕も「リュウ波動拳なんて今でも目隠しで避けられるわ」って言い返した。笑いながら昔話に花が咲いて、10分くらいだったけど、あの頃の空気がちょっと戻ってきた気がした。

一緒に遊ばなくなっても、タカシは友達だ。毎日会わなくても、ゲームで競い合わなくても、どこかでつながってる感覚がある。人生ってそんなもんなのかな。時間が経って、道が分かれても、ふとした瞬間に「あぁ、あいつ元気かな」って思い出せる相手がいる。それだけで十分なのかもしれない。

今度会ったら、またゲームセンター行こうかって誘ってみようかな。負けたらジュース奢りで。

友情の変化と絆が続く理由

一緒に遊ばなくなった友達との関係が完全に終わるわけではない。

中学時代の思い出やゲームセンターでの時間は、僕とタカシをつなぐ大事な糸。生活が変わっても、友達との再会の瞬間には、その糸がまた輝き出すんです。あなたにもそんな友達、いませんか?

時間が経っても心に残る、特別な存在。